Post-High-Tech Country

27 Sep. - 05 Oct. 2019

GALLERY KOGURE

Yugo Honda, Ichika Kashiwagi, Maito Otake, Souya Handa

Curated by Souya Handa

展示風景 Exhibition View (Photos by Miri Lin)

<展示概要>

■展覧会名:ポスト技術立国

■アーティスト:大竹舞人、カシワギヰチ花、半田颯哉、本多悠悟

■会場:GALLERY KOGURE

■会期:2019年9月27日() - 10月5日(土)

■キュレーター:半田 颯哉

<展示解説>

「技術立国日本」。資源に乏しい東の島国はこの言葉を掲げ、戦後の経済発展をテクノロジー産業によって成し遂げました。しかし、「ハイテクといえば日本」だった時代は失われた20年を経て昔の話となり、今やその立場は中国のものとなりつつあります。

本展への参加アーティストはいずれもバブル崩壊後の2000年代に多くを吸収した「ポスト技術立国」世代です。かつて、「技術の発展が国力増強をもたらす」と言われた国は、技術の発展が止まり次の未来像が描けなくなりました。あるいは、次の未来像を描くことなく技術の発展のみが目的化したせいで、先に進めなくなったのかもしれません。工業製品の「もの」自体とそれに対するノスタルジーが残ったこの現代日本で、アーティストたちはどのような表現をなすのでしょうか?

本多とカシワギはいずれもケーブルをモティーフとして扱うアーティストです。

本多はケーブルの線や断面を組み合わせて彫刻とします。本来なにかとなにかを繋ぐ経路であるケーブルを作品という終端にする行為は、手段と目的の混雑を想起させます。

一方、カシワギはコンセントケーブルを模した金属線によって作品を組み上げます。動力源と繋ぐためのコンセントケーブルは必然的に製品の終端に位置するものであり、本多の着眼点とは違う切り口を見せます。また、ケーブルの持つ特性を活かして「物質感」を押し出す本多と、重力から解放されたような軽やかさを持たせるカシワギの両者は同じモティーフを扱っていても対極的といえるでしょう。

大竹は自身で山を登るのに費やした歩数分だけ布を編んで立像を組み上げ、自然に向かう人間のプロセスを造形化します。一見アナログで自然主義的ですが、作品を生み出す行為の中で作家自身は「変換器」として扱われます。生み出された作品は、現実世界に表出したバグのようでもあります。また、本展ではギャラリー備え付けの家具や内装を作品に組み込んだ、今回限りの作品も展示しています。

半田はエンジニアとしてのバックグラウンドを持ち、科学技術に対する知識・理解を基に作品制作を行うアーティストです。時代を形成する電気製品を象徴的に扱い、技術革新に思想が追い付かない現代社会を批判します。半田の作品は技術革新を肯定するが故に、それを扱いきれない社会を皮肉的に投影しています。

科学技術の単純な肯定ではなく、フェチズムや皮肉といった一筋縄ではいかない形で執心を示す、ポスト技術立国世代のアーティストたちの作品をどうぞお楽しみください。

キュレーター:半田 颯哉