マナー講座受講券付作品購入はこちらから: https://noodleparty.stores.jp/

《NOODLE PARTY》はアーティスト・みょうじなまえと半田颯哉による共同制作作品です。

本作はキャンベルスープのデザインが塗装されたカップヌードルと、それに附随するマナー講座付パーティーへの参加権、そしてアーティストが創作したマナーに従ってカップヌードルを食べるパーティーそれ自体によって構成されます。

みょうじと半田は本作を通じて三つの問いを提示してます。

一つ目は、資本主義社会に対する問いです。ミュージシャン、甲本ヒロトは「売れているものが良いものなら、世界一のラーメンはカップラーメンになっちゃうよ」と言いましたが、アートの世界において「売れているものが良いもの」だという考えを持つ人は決して少なくありません。「世界一売れているラーメンであるカップヌードル」と「世界一有名なポップアートのアイコンであるキャンベルスープ」が組み合わされたアート作品は、間違いなく世界一のアート作品であることでしょう。

二つ目は、アート作品の定義に対する問いです。《NOODLE PARTY》で用いられている「キャンベル・ヌードル」は、半田が2020年に発表した作品、《オクシデンタリズム(カップヌードル)》が原型となっています。二作品の物質的な構成要素はほとんど一致していますが、《NOODLE PARTY》にはパーティーへの参加権が附随し、名義も二人のアーティストによる共作です。別作品として扱われ、作品価格も異なるこの二作の間にある価値・オリジナリティーの違いとは何なのでしょうか。また、アート作品を「所有する」という行為の定義にも揺さぶりをかけます。多くのコレクターが作品を購入した時点での同一性の保持を望む中で、《NOODLE PARTY》のコレクターは自らが作品の中身を食べ、同一性に手を加えることが求められます。「使用済み」となった《NOODLE PARTY》の空容器に、所有価値は果たして残り続けるのでしょうか。

三つ目は、伝統に対する問いです。本作の原型である半田の《オクシデンタリズム(カップヌードル)》は、「日本人の中に内在化されている西洋文化への強い憧憬」を皮肉っています。そうした憧れは時として自文化や非西洋文化を蔑視し、それまでの自国の規範を放棄し「優れた異国の規範」を取り入れます。そしていつしかそうした規範は「伝統」の名の下に守るべきマナーとして社会にインストールされて来ました。現代社会を生きる私たちが単なる「異国の古い規範」をマナーとして守り続ける必要性はどこにあるのでしょうか。ただし留意して欲しいのは、外来思想を一切受け入れるなと言っているのでも、マナーを全て捨てよと言っているのでもありません。「近代化」して150年が経過した中で、思想もまた様々な進化と深化を繰り返してきました。そうした展開を取り入れながら、自分たちの手で規範を再定義していくことこそが重要なのです。

《NOODLE PARTY》で提示されるみょうじと半田の手によって作られたマナーは、とても歪で、非合理的で、そして差別的です。パーティーにご来場の皆々様には、どうか是非ともこのマナーの暴力を存分にお楽しみいただけますと幸いです。

展示風景 Exhibition View (Photos by Miho Hirakawa)

<展示概要>

■展覧会名:NOODLE PARTY

■アーティスト:みょうじ なまえ x 半田 颯哉

■会場:ANB Tokyo 5F キッチンスペース(東京都港区六本木5-2-4) https://taa-fdn.org/

■会期:2022年5月7日(土) 14:00 - 19:30

■入場料:無料 ※マナー講座の受講には作品購入が必要です

■主催:Souya Handa Projects


■マナー講座受講券付作品・購入ページ: https://noodleparty.stores.jp/

みょうじ なまえ

2019年、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。女性の身体、性、アイデンティティとその消費をめぐる問題をテーマに作品を制作している。

<展示>

個展

2022 「Some Fairy Tales」 TAKU SOMETANI GALLERY

2020 「あなたのような誰か」 TAKU SOMETANI GALLERY

グループ展

2021 「Any Kobe with Arts 2021」

2021 「Familiae Sylvanian」 Art Lab TOKYO

2020 「SHIBUYA STYLE vol.14」 西武渋谷オルタナティブスペース

2020 「NEW NEW NEW NORMAL」 Gallery MoMo Projects


半田 颯哉(はんだ そうや)

1994年、静岡県生まれ。高校卒業まで広島にて育つ。

かつて科学技術立国としてアイデンティティを確立しようとした日本を現在から考察し直す「ポスト技術立国」や、東洋と西洋の間にある権力差・文化間隔差をテーマに作品制作を行う。

2019年、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。アーティスト・キュレーターの活動に並行して東京大学大学院学際情報学府に在学中。研究対象は1980年代日本のビデオアート。


<主な展示>

2021 LAYLA YAMAMOTO: AFTER THE QUAKE(福島ビル/東京・日本橋)(※キュレーション担当)

2020 New New New Normal (GALLERY MoMo Projects/東京・六本木)(※キュレーター兼任)

2019 ポスト技術立国 (GALLERY KOGURE/東京・神保町) (※キュレーター兼任)

2019 トーキョー・ストリート・ビュー (Red and Blue Gallery/東京・新富町)(※キュレーター兼任)

2018 CODES OF CONDUCT: CODING BODIES, DECODING DIGITALITY (CLEAR GALLERY TOKYO/東京)