Concrete Lives
佐野 魁・鈴木 悠生・半田 颯哉
キュレーション 半田 颯哉

2024年7月5日 - 15

開場時間: 15:00 - 19:00 (平日), 13:00 - 19:00 (土日祝)
※ 7月5日は13:00 - 19:00、7月8日は13:00 - 19:00

会場: 四谷駅前ビル5F (東京都新宿区四谷1-4 四谷駅前ビル)

Concrete Lives 
アーティスト: 佐野 魁、鈴木 悠生、半田 颯哉
キュレーション: 半田 颯哉

2024年7月5日 - 15日
オープニングレセプション : 7月5日 19:00 - 21:00

開場時間: 13:00 - 19:00 (7月5日 - 8日、13日 - 15日), 15:00 - 19:00 (9日 - 12日)

会場: 四谷駅前ビル 5F  (東京都新宿区四谷1-4 四谷駅前ビル)

協力: 鏑木 由多加, 株式会社TODOROKI

Souya Handa Projectsは、佐野魁、鈴木悠生、半田颯哉によるグループ展「Concrete Lives」を開催いたします。キュレーションは半田颯哉です。国際アートフェア「Tokyo Gendai」の第2回に合わせて開催される本展では、都市におけるメディウムとしてのコンクリートに焦点を当てます。

コンクリートは現代の都市空間を支える最も重要な素材の一つであり、人新世と呼ばれる人間の時代の地層ができたならば、おそらくそれを形成する主な物質の一つともなると考えられます。そんなコンクリートに日本の建築家たちはその構造的な強度と美的な可能性を見出し、戦後日本の建築の象徴的な素材の一つにもなっています。丹下健三は吊り屋根構造によって優美なコンクリートの曲線を実現し、黒川紀章はコンクリート製のカプセルを通じてメタボリズムの理念を具現化しました。あるいは、コンクリートそれ自体に内在する美しさを引き出した安藤忠雄は、今やコンクリートを象徴的に用いる建築家の世界的な代名詞です。

日本の地学的・歴史的な文脈において、コンクリートは瓦礫のイメージとも結びつきます。関東大震災、阪神淡路大震災、東日本大震災、今年の頭に起きた能登半島地震。あるいは第二次世界大戦中の東京大空襲や、広島、長崎への原爆投下。度重なる震災と戦時中の記憶が、コンクリートという素材に単に構造的な強さだけでなくそれが崩れた後のことを想起させ、寧ろその脆さを象徴させることもあります。

佐野魁は、自身の生活の中の――「具体的な(Concrete)」――風景をコンクリートの上に、画面定着のしづらい木炭によって描いています。コンクリートは私たちの生活を支える堅牢さと脆さの両方を象徴しており、木炭とコンクリートの組み合わせによって、私たちの日常生活は決していつまでも続く盤石なものではないことを示唆しています。

建築のバックグラウンドを持つ鈴木悠生は、建築や都市を独自の視点でフレームに収めています。「TOKYO TRANSPARENT BOUNDARIES」シリーズでは東京特別区のそれぞれの区境を訪れ、その見えない境界線を撮影しています。人為的に境界線が引かれるように、その場所に後から意味を与えるのは人間の側です。しかし同時に建築や都市もまた、人間の意志による完全な支配を退け、時間の経過と変化の中を生きるコンクリート製の生き物(Lives)のようでもあります。

半田颯哉は技術の進歩と社会的倫理の間に生じる摩擦に焦点を当てています。エンジニアの父のもと広島で育った半田は、幼い頃からテクノロジーに親しみつつも、同時にそれが人類にとっての危機を引き起こしうることも認識してきました。半田によるコンクリートのレリーフには、人類の創造物への肯定と、その営みによる環境破壊に対する批判のアンビバレントな感情が込められています。

「Concrete Lives」で提示されるのは、それぞれの視点によって切り抜かれた都市空間の風景です。コンクリートというメディウムを通して、私たちは都市生活のその基盤や歴史にアクセスしていくことができるのです。

参考画像

佐野 魁
1994年静岡県生まれ。素材が持つ堅牢性、脆弱さ、刹那性に反応した平面、立体作品を展開する。時間の経過や家族との関係、時世により変化する部屋や家の存在をテーマに作品を制作している。2017年愛知県立芸術大学美術学部美術科彫刻専攻卒業。2019年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。TOKYO MIDTOWN AWARD 2020 優秀賞受賞。あいちトリエンナーレ2022公募展「アーツチャレンジ2022」選出。

鈴木 悠生
写真家。1991年、長崎県生まれ、東京で育つ。以降、東京を拠点に活動。都市とそこに点在する場所や建築から生まれる現象と経験、そして歴史的な出来事に着目し、写真というメディアを用いてみる=まなざすという行為のあり方を問う制作を続けている。東京工業大学にて建築を専攻したのち、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻博士前期課程修了。現在、同博士後期課程に在籍中。

半田 颯哉
アーティスト、インディペンデント・キュレーター。1994年、浜松市生まれ、広島出身。テクノロジーと社会倫理の関係や、アジア・日本のアイデンティティを巡る問題に焦点を当てる。2019年、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程先端芸術表現専攻修了。また2023年に東京大学大学院学際情報学府修士課程を修了。アジアン・カルチュラル・カウンシルの2024年度ニューヨーク・フェローシップ・グランティーに選ばれている。